みなとみらい駅に掲示されている詩2008/12/16 19:42

みなとみらい駅は最近出来た新しい駅ですが、改札からクイーンズスクエアに昇る長いエスカレータから見える、巨大な黒い壁に書かれた詩があります。僕は、行くたびにこれを見るのが好きです。

樹木は育成することのない
Der Baum treibt unzählige Keime,


無数の芽を生み、
die unentwickelt verderben, und


根をはり、枝や葉を拡げて
streckt weit mehr Wurzeln, Zweige und Blätter


個体と種の保存にはあまりあるほどの
nach Nahrung aus, als zu Erhaltung seines Individuums


養分を吸収する。
und seiner Gattung verwendet werden.


樹木は、この溢れんばかりの過剰を
Was er von seiner verschwenderischen Fülle


使うことも、享受することもなく自然に還すが
ungebraucht und ungenossen dem Elementarreich zurückgibt,


動物はこの溢れる養分を、自由で
das darf das Lebendige in fröhlicher


嬉々としたみずからの運動に使用する。
Bewegung verschwelgen. So gibt uns die Natur


このように自然は、その初源からの生命の
schon in ihrem materiellen Reich ein


無限の展開にむけての秩序を奏でている。
Vorspiel des Unbegrenzten und hebt


物質としての束縛を少しずつ断ちきり、
hier schon zum Teil die Fesseln auf, deren sie sich


やがて自らの姿を自由に変えていくのである。
im Reich der Form ganz und gar entledigt.


フリードリヒ・フォン・シラー
Friedrich von Schiller


作者は第九の原詞を作ったフォン・シラーで、あの黒い壁に刻むことを考えたのは美術家のジョセフ・コスース。(作品名:The Boundaries of the Limitless , 1997年)

フォン・シラーについて、Wikipediaによれば、

彼の書く詩は非常に精緻でありかつ優美であるといわれ、「ドイツ詩の手本」として今なおドイツの教育機関で教科書に掲載され、生徒らによって暗誦されている。



件のみなとみらい駅に掲示されている詩は、シラーが、デンマーク王子アウグステンブルク公にあてた「美学的なことに関する書簡27号」からの一部引用とのことですが、書簡に詩が書かれているなんて、まさに詩人。
上に引用した詩はgoogleで検索して出てきたブログから引っ張ったものですが、ちゃんとドイツ語の文まで間違ってないかどうかは不明です。せめてそれが判るくらいは、大学で途中で挫折せずドイツ語をやればよかったなあ(まあ、ロシア語も挫折気味だけれども)。

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